科学&宇宙ネタ

X線で記念撮影!? 放射線の危険性が知られていなかった頃の怖い話

投稿日:2018年6月13日 更新日:

マリー・キュリー(出典 立入禁止!プラモデル35分

放射線は発見当時、放射線は危険なものとは思われていなかった

我々は放射線が極めて危険なものであることを知っている。しかし放射線が発見された当時、その危険性はほとんど知られていなかった。逆に放射線は健康に良いものと思われていて、様々な放射性物質が入った商品が発売された。今考えると、とてつもなく怖いことが行われていたのだ。そしてその無知が、マリー・キュリーほか多くの人たちを死へと導いた。

透過する奇跡の光、X線の発見

有名なレントゲンの妻、アンナ・ベルタのX線写真。薬指がふくらんでいるのは指輪

1895年、ドイツ人のヴィルヘルム・レントゲン(1845~1923)がX線を発見した。彼の発見はメディアで大きく報じられ、さらに世紀の大ニュースとなって世界を駆け巡った(1901年、レントゲンは第1回のノーベル物理学賞を受賞)。

婦人たちは衣服を透かして裸を見るためにX線が使われるのではないか?と心配した。商売熱心なある会社は、X線を通さないという下着を発売した。あまりの大騒ぎにポール・モール・ガゼット紙は「レントゲン線にはもううんざりだ」という記事を掲載したほどだった。

治療のため大量のX線が患者に照射された

X線の発表から数ヶ月のうちに、胆石や骨折の検査を行うためのレントゲン撮影機が作られた。その後、ビスマスやバリウムを飲むことで消化管内部のX線撮影が可能になった。まもなく、X線に火傷を引き起こす危険性があることがわかった。1897年にはすでに放射線による被害が69件報告され、被害者はすべてレントゲン撮影技師だった。しかし当時の人々はX線の真の危険性についてまだ知らなかった。

数え切れないほど多くの人に不必要なX線照射が行われた。1896年に始めてX線を使って体内の弾丸が見つけだされたが、その時の照射時間はなんと2時間だった。写真館ではX線を使って自分の骨を撮影することが流行した。X線を使った脱毛機が発売され、それを使った多くの人たちに壊死性の潰瘍ができ、後にガンを発症した。

ウラニウム、ボロニウム、ラジウムの発見

1896年、レントゲンがX線を発見した翌年、アンリ・ベクレルがウラニウムから放射される新しい放射線を発見した。このベクレルの発見に目をつけたポーランド人のマリー・キュリー(1867~1934)は、夫でフランス人のピエールとともにこの新しい放射線を研究することにした。

ウラニウムはピッチブレンドという鉱石から抽出される。マリーはピッチブレンドの放射能が、それに含まれているウラニウムよりはるかに高いことを知った。ピッチブレンドの中にはウラニウム以外にも放射能を持った元素がある~と確信した彼女は、苦労の末、ボロニウムとラジウムという2つの新元素を発見した(1903年、ベクレルとキュリー夫妻はノーベル物理学賞を受賞。ピエールの死後、1911年にはマリーが単独でノーベル化学賞を受賞した)。

放射能は健康に良いものと思われていた!!

放射線は「生命の光線」として知られるようになり、放射性物質が様々な製品に配合されるようになった。ラジウム入りのチョコレート、ラジウム入りの歯磨き、塗ると肌がゾクゾクするラジウム入りの軟膏、ラジウム入りの育毛剤、ラドン入りのポットやジャーetc。ぞっとするようなこれら商品は飛ぶように売れた。

高額のインチキ商品を売り歩いていたウィリアム・ベイカーは、1920年代にラジウム入りの水「ラジソール」で大儲けした。「カラダの内部から放射線によって治療する」というベイカーのうたい文句は偽りではなかった。ベイリーの得意客の中にバイヤーズという金持ちがいた。バイヤーズはラジソールを愛飲していた。やがてバイヤーズは歯が抜け落ち骨がボロボロになり、苦しみ抜いた末に死亡した。弁護士がベイカーを訴えたが、当時、ベイカーを取り締まる法律はなかった。彼は裁判が終わるとすぐに「命の光線を大量に含む」新商品を発売した。

夜光塗料を塗る作業をしていた女工たちが次々とラジウム中毒に

商品として最もニーズが高かったのは、ラジウムが放つ青白い光だった。ラジウム入りの夜光塗料が発売され、夜光塗料は様々な商品に塗られた。中でも一番使われたのが腕時計の文字盤だった。1920年代、アメリカのラジウムダイヤル社の工場では、たくさんの女工が腕時計の文字盤に夜光塗料を塗っていた。細かい作業だったため、女工たちは筆の先を舌で舐めて筆先を整えなければならなかった。

1925年、女工の一人が骨髄が破壊されたことが原因の極度の貧血で死亡した。調査の結果、1年以上工場で働いた女工で正常な血球数を示す者は一人もいなかった。暗いところで自分の体が発光することにおびえる女工もいた。そして死亡者が多発するようになった。

当然ながら、女工たちのラジウム中毒が疑われた。しかし会社の経営陣はその事実を隠蔽。「死亡者が多発しているのは、他社なら雇われないような不健康な者を採用することを社是としているからだ」と弁明した。病気の女工たちは会社を相手どって訴訟を起こし、賠償金を勝ち取った。しかし彼女たちの顎はすでに壊死し、骨は穴だらけだった。その後、数年のうちに彼女たちは次々と死んでいった。

ピエール・キュリーも大量被爆していた

1995年、キュリー夫妻の遺体をパリのパンテオン内に移すことになった。ある科学者が掘り出された夫妻の遺体をガイガーカウンターで調べたところ、2体ともに放射能を帯びていた。特に夫のピエールは驚くほど値が高かった。ピエールは馬車に轢かれて死んだが、もし事故にあわなかったとしても、放射線障害により長期間苦しんだ末、悲惨な最期を遂げていただろう。

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