1で始まる数は30.1%、2で始まる数は17.6%…あらゆる数字を支配するベンフォードの法則

2018年8月2日

1881年、アメリカ人天文学者のサイモン・ニューカムはある日、科学者がよく使う対数表を見ていて、対数表のページが最初の方ほど汚れていることに気がついた。なぜか人は8や9から始まる数よりも1から始まる数の計算をやりたがるのだ。ニューカムは対数表の汚れ具合とかなり一致するある数式を考え出し『アメリカ数学ジャーナル』という雑誌に発表した。Dから始まる数字が使われる比率は、log10(1+1/D) で表せるというものだ。

※この数式を元にした数字の出現頻度
最初の数字 現れる確率
1 30.1%
2 17.6%
3 12.5%
4 9.7%
5 7.9%
6 6.7%
7 5.8%
8 5.1%
9 4.6%

ニューカムのこの論文はその原因を明らかにすることができなかったため、さしたる反響も得られず50年以上忘れ去られていた。しかし1938年、アメリカの物理学者フランク・ベンフォードがこの法則を再発見した。ベンフォードは会計データから川の流域面積、雑誌に書かれた数まで、あらゆるところから集めた2万件以上の数の最初の数字がこの比率になっていることを示した。さらにこの法則は、単位を変えても通用することも判明した。ドルをポンに変えても、メートルをマイルに変えても成り立つのだ。彼はこの法則の正しさを証明したことで、この法則は『ベンフォードの法則』と名づけられた。さらにその後に行われた数々の研究で、人為的なものではなく、完全な乱数でもない大量の数値のほとんどにベンフォードの法則が当てはまることが確認された。

ニュージャージー大学の会計学教授のマーク・ニグリは、ベンフォードの法則の~単なる数字遊びではない~画期的な利用法を編み出した。「会計上の数値はベンフォードの法則に従うので、この法則から逸脱した数値の会計には不正が行われている可能性が高い」というものだ。その後、ニグリはベンフォードの法則をもとに大規模な不正会計をいくつも暴き、その実用性を証明した。

不正会計を暴くこと以外にも、ベンフォードの法則の使い道はいくつか提案されている。ドイツ、フライベル大学の数学者ペーター・シャッテはコンピュータのメモリをベンフォードの法則に従って割り当てることでメモリーを節約する方法を考え出した。ジョージア工科大学のテッド・ヒルは財務予測や人口統計の分野でもベンフォードの法則は役に立つと考えている。

ニグリとヒルはこう語っている。「まだ誰も思いついていないだけで、ベンフォードの法則にはもっと賢い使い方があるはずだ」。

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