心と意識&健康ネタ

健康状態に不安を持つ人は、移民排斥を支持する?

投稿日:2018年11月17日 更新日:

【Image Credit : 世界の歴史マップ

嫌悪の感情は、感染症から身を守るために生まれた

「嫌悪」の感情は、人間が病原体や寄生生物から身を守るために進化したものらしい。腐った肉、嘔吐物、固まった牛乳etc。我々が吐き気を催すような~汚らしい、嫌な臭いがする、ベトベトする、ニョロニョロしている~といった類のものには、病原体や寄生虫が含まれている可能性が高い。そのことを人間は本能的に知っていて、それで嫌悪してしまうのだ。

ちなみに、僕は筋金入りのトライフォビアだ。トライフォビアとは、昆虫が卵を産んだように見えるたくさんの小さな穴があいたものを見ると、気持ち悪くなってしまう症状のこと。本当は画像で紹介したいところだが、気持ち悪過ぎてとてもムリ。書いているだけでもカラダがムズムズしてくる。

「嫌悪」の感情は、対人間にも当てはまる。鼻水をたらしている人や湿疹ができている人など、感染症が疑われる人との接触を、我々は極力避けようとする。さらにその嫌悪感は、身体を損なった人、奇形の人、太った人、年老いた人など、感染症とは関係がないと思われる相手にさえ向けられる。こうした理不尽ともいえる嫌悪感は、我々は『自分たちと違う人』を本能的に避けるように進化してきたからだ。

ブリティッシュ・コロンビア大学の心理学者マーク・シャラーは「感染症は実にいろいろな症状を引き起こす。我々は相手が『普通に見えない』という事実を本能で感じ取っている」と述べている。シャラーの言う「普通」とは「健康な人はこう見えるはずだ」という原始時代の人が持っていた概念だ。シャラー曰く「ごく最近まで、太った人や40歳をはるかに過ぎた人は珍しかったのです」。

病気の心配をしている人ほど外国人を排斥する?

さらにシャラーは、そうした嫌悪感は遠くからやってきた人、すなわち「異邦人」にも向けられると言う。よそ者は、自分たちが免疫を持っていない病気に感染しているかもしれない。こうした潜在意識による感染の恐怖が、異なる人種や民族に対する差別や排斥に繋がっているのだ。

コロンブスによる「新大陸の発見」以来、南北アメリカ大陸の先住民は、移住してきたヨーロッパ人がもたらしたインフルエンザ、天然痘、麻疹、発疹チフスなどの伝染病により人口が激減した。南北アメリカ大陸の先住民はこれら病原体の免疫を持っていなかったからだ。コロンブス以前の新大陸の人口は推定1億人、それが400万から500万人になってしまったのだ。逆にヨーロッパへは、ハイチの風土病だった梅毒などがもたらされた(コロンブス交換)。

シャラーは多くの実験の結果から、慢性的に病気の心配をしている人、いわゆる神経症的な人は「外国人や、外見が普通と異なる人に対して反感を持ちやすい」と報告している。最近、病気が治ったばかりの人も同様な偏見を持ちやすく、それは「おそらく免疫系がまた疲れ果てた状態のため、心が防衛的な感情を生み出して補っているからだろう」と考察している。

妊娠初期には胎児を拒絶しないように免疫系の働きが抑えられる。進化人類学者のダニエル・フェスラーらの研究によると、妊娠初期には食べ物の好き嫌いが激しくなる、手を洗う回数が増える、便座シートを敷く頻度が高まる、外国人に対して否定的になる、といった「無意識に病原体を遠ざけようとする」傾向が強まるそうだ。

移民排斥公約が票を集めるのは、病原体の脅威があるから

マイケル・バン・ピーターセンとリーネ・アーローは、3300人のデンマーク人とアメリカ人を対象にした大規模な調査を行い、細菌恐怖症の傾向がある人ほど移民への抵抗が高いことを明らかにした。ピーターセンはこう語っている。「僕が恐れているのは、相手ではなく相手の病原体なのだ。その事実は、異民族統合がとても難しい理由について重要なことを伝えている」。

世界中の国で、移民問題は選挙の重要な争点になっている。その理由は「移民排斥を訴えれば簡単に票が集められる」から。そして、こんな理不尽な公約が支持を得てしまうのも「人間はよそ者を病原体の脅威とみなす」という下地があるからに違いない。

ジョン・レノンの夢の実現をはばむ最大の要因は、国境でも宗教でもなく、病原体なのかもしれないな。

過去の病気と思われていた梅毒の患者が、2014年頃から毎年150%ぐらいの勢いで増えている。一説によると、中国で広がった梅毒が中国人観光客によって日本の性風俗産業の女の子に感染し、そこから一般人に拡がったと言われている。風俗店は以前は「外国人お断り」の店が多かった。しかし中国人がリッチになるにつれ、お金目当てに「中国人OK」に変わっていったことが、感染拡大の背景にあるようだ。こうした事実を見ると、外国人を嫌う感情が存在するのも仕方ないのかもしれない。

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  1. こうちゃん より:

    トライポフォビアって初めて聞いたなぁ。確かにある人達はブツブツ系が苦手というのは聞いた事あります。ぐぐってみたら皮膚病への嫌悪感みたいですね。ちなみに個人的にですが異性はハーフ好きを公言してやまない私ですが全くの健康体、もしくは異質の病原体に対しての無頓着さなのでしょうか?(ちなみに余談ですが私の大好きな滝川クリステルさんはハーフでなくダブルって言ってました)

    • 管理人YG 管理人YG より:

      コメントありがとうございます。
      外国人好きは自分の遺伝子とかけ離れた遺伝子を好むからなのですが、おっしゃる通り、病原体に関しては外国人好きは「健康に対する無頓着さ」といえるかもしれませんね。
      こと生殖に関しては「欲望が病原体の恐怖を上回る」とゆーことですかね(笑)。

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