社会&歴史&映画ネタ

大好きな作家・村上春樹のノーベル賞騒動に思うこと

投稿日:2017年11月22日 更新日:

近年、この時期の定番行事と化した「村上春樹ノーベル賞受賞」騒ぎ。若い頃、村上春樹にハマっていた僕としては、ノーベル賞を取ってくれると凄く嬉しい。でも、村上春樹に関することがネットで話題になる度に「アンチ村上春樹」の多さに驚いてしまう。

批判で多いのが「本当に面白いと思って読んでるのか? 自分はインテリと思われたいだけじゃないのか?」というもの。村上春樹を読んでいるとインテリと思われるなんて知らなかったけど、ま、批判されるのも分からなくもない。

最近の作品は面白くないからだ。

今まで読んだ村上春樹の長編を年代順に並べて評価してみた。

○面白かった △まあまあ ×さほど

 

風の歌を聴け(1979)○

1973年のピンボール (1980)△

羊をめぐる冒険(1982)○

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド (1985)○

ノルウェイの森 (1987)○

ダンス・ダンス・ダンス (1988)×

国境の南、太陽の西 (1992)△

ねじまき鳥クロニクル (1994)×

スプートニクの恋人 (1999)×

海辺のカフカ (2002)△

アフターダーク (2004)未読

1Q84(2009)×

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(2013)△

騎士団長殺し(2017)未読

 

『ノルウェイの森』を最後に、面白いと思えた作品がない。特に「大長編」といえる『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』にはほんとにがっかりした。いつものように謎が謎を呼ぶ展開。この先、どうなるんだろう?という期待感。しかし、それらの謎が全く解決されないまま、唐突に終わってしまうのだ。もう消化不良感がハンパない。だから、さずがに『騎士団長殺し』は読む勇気がなかった。

しかし、初期の作品はほんと面白かった。特に好きなのが、主人公の僕と友人の鼠が登場する『風の歌を聴け」『1973年のピンボール」『羊をめぐる冒険』のデビュー三部作。『羊をめぐる冒険』は、『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』と同じダークファンタジーで、いつものように謎が謎を呼ぶ展開なんだけど、それらの伏線が最後に見事に回収されるのだ。

あと、この頃の村上春樹作品の根底に流れているのが「生きることの哀しみ」だ。それは、はっきりと文章として書かれている訳じゃない。でも、弱さゆえ最後に自殺してしまう鼠と、弱さを理解しつつも社会に適応して生き続ける僕。この二人の対比がなんとも切ない。

鼠は最後に、たった一人の親友、僕に対してこう語る。

俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさやつらさも好きだ。
夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。
君と飲むビールや……

このシーン、ほんと泣けました。

こういう中二病全開の瑞々しい文章は、若くてモヤモヤしてないとないと書けないんだと思う。

だから、今や大作家となってしまった村上春樹には、あまり期待はしていない。でも、今でも村上春樹は「一番好きな作家」だ。

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