人類を絶滅寸前に追い込んだ、7万年前のトバ山の大噴火

2018年6月10日

ホモサピエンスは驚くほど遺伝的多様性が少ない

現在、生きているチンパンジーは約20万頭、ゴリラも同じぐらいだが、ホモサピエンスは70億人もいる。しかしチンパンジーやゴリラに比べ、ホモサピエンスの遺伝的多様性ははるかに低い。これはホモサピエンスが過去に1回以上、絶滅寸前まで個体数を減らした(ボトルネック)ことが原因だ。

ホモサピエンスの個体数は成人40人にまで落ち込んだ、という説もある。さすがにこれは極端だが、成人2000人~3000人まで落ち込んだ、と唱える学者は多い。しかも2000人~3000人は散らばって暮らしていたことを考えると、よく絶滅しなかったもんだと思う。

7万4000年前の大噴火が原因?

ボトルネックの原因として有力なのが、7万4000年前に起こったインドネシアのトバ山(現在のトバ湖)の大噴火だ。トバ山噴火は過去200万年で最大の規模で、1980年のセント・ヘレンズ山の噴火のおよそ3000倍に相当、流出したマグマはエベレスト2杯分に達した。しかも運悪く、風向きのせいで噴煙はホモサピエンスが住んでいたアフリカ東部に流れていった。太陽は6年間も姿を現さず、木々は枯れて小川は干上がった。その後、トバの噴煙は数千年にも渡って地球の平均気温を下げたと言われている。

トラ、オランウータン、チンパンジー、ゴリラのDNAも同じ時期に個体数が激減した兆候が見られる。しかし彼らは森林に住んでいたため、ホモサピエンスより被害が少なかったのかもしれない。

トバ山の噴火はそれほどでもなかった?

しかし「ボトルネックをトバ山噴火に結びつけるのは短絡的だ」という意見もある。トバ山噴火はそれほど強力なものではなかったと主張する地質学者もいるし、火山の噴火が何千キロも離れた場所に住む生物を滅ぼすのは無理だという学者もいる。人類が絶滅寸前に追い込まれたのは間違いないが、火山の噴火により急激に数を減らしたのか?気候が変わることで徐々に数を減らしていったのか?は現在のDNA解読技術ではわからないようだ。

トバ・カタストロフはあったのか? 今のところ結論は出ていない。しかしホモサピエンスがネアンデルタール人と同じく絶滅した可能性は、結構高かったみたいだ。両者の運命を分けたのは、知能の差や協調性の差ではなく、ただの「偶然」だったのかもしれない。

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