社会&歴史ネタ

フランス厚生省が抗認知症薬を保険適応外に!日本では絶対に無理

投稿日:2018年8月18日 更新日:

フランス厚生省が抗認知症薬を保険適応外にしたという記事を見た。抗認知症薬にはさほど効果がないということはなんとなく知っていたが、はっきりと「保険適応外にする」って決断をしたことには驚いた。

もし日本の厚生労働省がこんな決定をしたら大変な騒ぎになるに違いない。「認知症患者を見捨てていいのか?」という議論が巻き起こり、左翼系メディアやフェミニンな人たちは「弱者を見捨てるなんて許せない!」という論陣を張るだろう。日本はそういう国だ。とにかくウェットなのだ。

でも論点はそこじゃない。「認知症患者を見捨てるのか?」ではなく「抗認知症薬は効果があるのか?」だ。抗認知症薬の効果を科学的に検証し、効果があるなら絶対に保険適応を続けるべきだし、効果がないならやめるべきだし、効果が少ないなら~フランスのように~もっと他にお金の使い道はないかを考える。徹底的にドライな議論をしなければならないはずだ。でも、もし日本で「効果がないから保険適応をやめます」となったら、決定した人たちは「許しがたい冷血漢」としてひどいバッシングを受けるだろう。政治家も役人も医師も、そんなババは引きたくないはずだ。

国民医療費は2015年には概算で40兆円を超え、政府の予測によれば2025年度には54兆円に達するという。国民が支払う健康保険料と患者負担でまかなえているのはその6割で、あとの4割は税金で補填している。しかし肝心の日本の国家予算も今や破産寸前という状況だ。日本の「国民皆保険」は素晴らしい制度であることは間違いないが、今後もこの制度を維持していくのは不可能に近い。

どうやったら医療費を削減できるかを、我々日本国民はそろそろ真剣に考えなければならない。抗認知症薬だけじゃなく、本来は必要のない検査、高齢者への多剤投与、抗生物質の使い過ぎetc。ムダな医療行為はたくさんある。「患者がかわいそうだからあらゆる医療行為を保険でカバーする」じゃなくて、「ムダな医療行為には保険を使わせない」という方向へシフトする必要がある。「弱者を見捨てるな!」という感情的なことばかり言っていても、お金が天から降ってくる訳じゃないんだから。

日本でアルツハイマー病などの認知症治療薬に使われているお金は年間1500億円以上。そのうち85歳以上の超高齢者への投与が半分以上を占めている。抗認知症薬は重度の認知症には効果がほとんど期待できないそうだが、それでも惰性で投薬を続けるケースは多い。でもそれは仕方がない部分もある。医者が「おたくのお母様にはもう薬を与えても無意味ですから投薬を中止します」と言ったら、家族は激怒するだろう。難しい問題だなぁ。

薬からケアへ 舵を切ったフランス

冒頭で示したフランス厚生省のプレスリリースでは、今回の結論にいたった理由として「市民の健康を守り、患者さんの統合されたケアを推進するため」だとしています。
それに続けて、認知症への対策として重視している点の例として次のものを挙げています。
※かかりつけ医の役割の強化
認知症を抱える人を診察し、自宅での生活の質を高めるためのケアを行う時間を確保
※介護者の負担の軽減
認知症を抱える人を介護する人へのサポートや、レスパイトケア施設の拡充
※アルツハイマー病特別チームの充実
認知症を抱える人が急に病気になった場合などに対応する特別チームを全国に設置

「今回の決定は、現在、治療薬に使われているリソース(薬剤費など)を、より優先的に対策が必要と考えられる部分に投じるために行った」。プレスリリースからは、そんなメッセージが受け取れます。
アルツハイマー病治療薬・フランスで医療保険から外れる 変わる認知症治療の潮流とは

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