遺伝子&生物ネタ

キングコングは一歩も歩けない!?

投稿日:2018年7月29日 更新日:

地球の生物のサイズは地球の重力の制約を受けるため、ある程度以上には大きくなれない。クジラがあんなに大きくなれたのは海中の浮力のおかげであって、陸上だったらあれほど大きくはなれなかった。

例えば、もしキングコングが現れたとしても、彼は一歩も歩けないだろう。キングコングが一般的な猿の10倍の大きさだと仮定すると、体重は体積に比例して増えるので、10X10X10=1000倍になる。一方、強度は骨と筋肉の太さ(断面積)に比例して増える。断面積は長さの2乗で増えるので、強度は10X10=100倍にしかならない。強度は100倍なのに体重は1000倍になってしまうのだ。これじゃ一歩踏み出したとたん骨折してしまうだろう。

一方、昆虫のサイズは重力とは別の制約を受けている。昆虫は体の側面にある無数の穴で呼吸している。穴の面積は長さの2乗に比例して大きくなるが、体積は長さの3乗に比例して大きくなる。体長が10倍になると体積は1000倍になるが、酸素を摂取するための穴は100倍にしかならない。大きくなればなるほど体に酸素を供給することが難しくなるのだ。だから現代の昆虫は最大でも20センチ程度にしかなれない。

史上最大の昆虫、メガネウラ(出典:Wikipedia)

しかし約4億年前から3億年前まで続いた石炭紀は、現在より酸素濃度が高かった。陸上植物が本格的に進化をとげた時期で、地球上には巨大な森ができ、そこから大量の酸素が吐き出された。石炭紀後期の酸素濃度は35%もあったらしい(現在は21%)。だから全長70センチの巨大なトンボや全長50センチの巨大なゴキブリが生存できたのだ。

ちなみに、体操選手やフィギアスケート選手の体が小さいのも、小さい方が酸素摂取がしやすいから。身体の大きさが影響しないスポーツでは、身体が小さい方が運動能力が高くなるので有利なのだ。高等動物の人間でさえ、体積と酸素摂取能力の関係は当てはまる。

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