心と意識ネタ

なぜ人は命令されると盲目的に従ってしまうんだろう?

投稿日:2018年8月27日 更新日:

『愛を読むひと』。少年が年上の女性とのひと夏の恋を経験して大人になる的な『おもいでの夏』みたいな映画だと思ってたけど、実際に観てみると結構ディープな作品だ。文盲の女性ハンナを『タイタニック』のケイト・ウィンスレットが好演している。

みずたまりさんという発達障害の女性のブログでこんな一文を見つけた。

実は、心が綺麗とか素直で純粋というのは、ずっと私が定型発達の人たちに対して感じていたことだ。
彼らは、明確な意味がわからないことや、理不尽なこと、自分に利益のないことであっても、命令されればそれに従ってしまう。
彼らは、命令の内容に不満は言っても、命令に従わなければいけないこと自体は疑わない。家族や学校や仕事や、それらに付随するルールの意味をあまり疑うことがない。
引用元 note

これは僕もいつも感じていたことだ。やっぱそう思ってる人っているんだなぁ。なんか嬉しい。

会社勤めをしていると、決まりごとが星の数ほどある(正確に言うと、星の数の方が若干多い)。中には「違うやり方をした方がいいのに」と思うこともある。そこで上司に「こうした方がいいんじゃないですか?」と提案したりすると、非常に高い確率で自爆する。「こういう理由で今のやり方のほうがいいんだよ」とちゃんと説明してくれれば納得できるんだけど、ほとんどの場合そんな説明はない。上司たちの反応はこうだ。「これは決められたことだから」。

僕としては誉められこそすれなぜ怒られるのかさっぱりわからないが、そこでムキになって自分の正しさを主張すると、上司は僕への怒りを溜め込むようだ(まともに反論できないため?)。そして後日、別件で嫌がらせをされる。だから大人になってからは、それ以上この問題には突っ込まないようにしている。僕にだって学習能力はあるのだ。

そんなわけで僕は、理不尽な命令に従う人たちを、みずたまりさんのように「素直で純粋」とはとても思えない。バカで愚鈍な人だと認識してしまう。僕はきっと彼女より性格がひねくれているんだろう。

みずたまりさんのブログ、めちゃめちゃ面白かった。とにかく文章がうまい。嫉妬してしまうほどだ。アスペの人がこんなにうまい文章を書くなんて信じられない。

映画『愛を読むひと』の中で印象的なセリフがある。主人公の少年の恋人だったハンナは、ナチスの元で働いていた時、ユダヤ人捕虜を火災から逃がさずに見殺しにしてしまう。終戦後、戦争犯罪人として裁判にかけられたハンナは、裁判官から「なぜそんなことをしたのか?」と問われ、戸惑いながらこう答える。「なぜって…仕事だからです。あなたならどうしましたか?」

ジプシー出身で文盲だったハンナは、やっと手にしたナチスでの仕事を必死に務めたんだろう。火災が起こった時も、彼女は「ユダヤ人を逃がしてはならない」という上司の指示を守ることしか頭になかったはずだ。ハンナはそれが正しいことだと信じていたから。

殺人と仕事を同レベルで語るな!と言われそうなことは重々承知なんだけど、それでも僕は思う。今、愚直なほど真面目に上司の指示どおりに働いている人が、もしハンナの立場になった時、果たしてどれだけの人がユダヤ人を逃がせるだろう?

日本人だって戦時中は、戦争に反対する人たちを「非国民」として糾弾した。率先して糾弾した人たちはきっと、真面目で正義感の強い人だったんだろう。『オウム心理教』で殺人に手を染めた連中だってそうだ。彼らは教団の発展と教団内での地位向上のため必死で頑張ってきただけだと思う。

でも彼らは、教え込まれた「正義」が「本当に正義なのか?」を考えることは、残念ながらできなかったのだ。

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